目次
1. IPOのエキスパートが教える上場のアレコレ
7月24日(水)、株式会社GronはIPO(新規株式公開)を目指す企業の皆様のためにセミナーを開催しました。本セミナーには、証券会社、上場支援の専門家、社会保険労務士をお招きし、上場に関する最新情報や成功のための戦略を提供しました。
今回のセミナーには、上場を目指す企業や、TOKYO PRO Market(略称:TPM)および今年新設されるFukuoka PRO Market(略称:FPM)について理解を深めたい企業、さらに上場に携わっている企業から計10名の方々がご参加されました。参加者の皆様は、専門家からの貴重なインサイトを得る機会を活かし、今後のビジネス成長に向けた具体的なアクションプランを考える場となりました。
セミナーの冒頭では福岡証券取引所の営業部長 加来英彦氏よりビデオメッセージをいただきました。
ビデオメッセージではFPMの開設と北九州における今後の発展についてお話いただきました。
1-1. TOKYO PRO Market・新市場Fukuoka PRO Marketとは
第一部は特別講演としてフィリップ証券の取締役常務執行役員、脇本源一氏にご登壇いただきました。
上場の現状からTPMとFPMの市場を中心に一般市場との違いについて詳しく解説しました。
■今後の日本のIPO市場の展望
上場することの意義から始め、現在のIPO市場の現状と今後の変化について詳述しました。具体的な統計データとトレンド分析を通じて、IPO市場の未来像を鮮やかに描き出し、上場が企業にもたらす影響を深く掘り下げました。
■TPMとFPMブームが到来する理由
現在大ブームとなっているTPMと、2024年度後半に開設予定のFPMについても詳述しました。
脇本氏は、これらの市場の特徴や魅力、具体的な活用方法を解説し、TPMとFPMの関係性や戦略的な利点についても解説しました。
登壇者情報
フィリップ証券株式会社
取締役常務執行役員 脇本 源一氏
脇本 源一氏は、40年近く株式公開業務に携わり、業界の第一線で活躍しています。大和証券および楽天証券の公開引受部で17年間、株式公開実務を行い、その後、日本やシンガポールのベンチャー企業で上場実務を経験しました。
シンガポールのCatalist市場での経験を生かし、2010年にはTOKYO AIM市場(現TOKYO PRO Market市場)の立ち上げに深く関与。2012年にはTPM市場への移行とルール作りに一貫して注力し、市場の発展に寄与しました。
TPM市場の歴史を知る唯一の証券マンとして、現在は投資銀行本部を統括。TPMの主幹事業務に加え、一般市場の上場主幹事業務やTOB(株式公開買付)代理業務、資金調達などのコーポレート・ファイナンス業務を手掛けています。
※Catalist市場は、TPM市場と同じくロンドンAIM市場をモデルとしており、東証グロース市場とTPM市場の中間的な位置づけの市場。
※フィリップ証券は、フィリップキャピタルグループの日本法人。フィリップキャピタルグループは、シンガポールに拠点を置き、アジア全域・欧米・中東など15カ国で展開するとともに世界24の証券取引所と直接コンタクトしている、アジアを代表する総合金融グループ。
1-2. 上場に向けた会社の準備
第二部では上場支援家のIPOinfo.net氏(庭野大輔氏)にご登壇いただきました。
上場準備の基本と必要なステップについてQ&A形式で解説しました。
■そもそも上場とは何なのか
上場の基本概念からスタートし、誰が上場するのか、上場することの意味とその重要性について明確に説明しました。
■上場を目指す際に必要な組織体制の構築方法
上場準備の過程で重要な組織体制の構築についても詳述しました。
不正を未然に防ぎ、早期に発見するための仕組み作りの重要性を強調し、具体的な方法論を提供しました。
■上場に必要な具体的なポイント
上場に必要な具体的なポイントについても深掘りしました。
従業員との関わり方、事業計画の重要性、そして組織運営や不祥事の整理に関する実践的なアドバイスを提供し、参加者にとって実用的な情報が盛り込まれました。
登壇者情報
上場支援家 IPOinfo.net
庭野大輔氏
新卒で複数の上場企業に関わり、その後独立して上場支援の専門家として活躍しています。上場を検討し始めたアーリーステージから企業に伴走し、具体的な支援を行うことを得意としています。
PO支援や経営支援を中心に活動し、中小企業オーナーの右腕として常駐しながらあらゆる経営課題を解決しています。その豊富な経験と実績から、多くの中小企業が庭野氏の支援を受けて上場を成功させ、成長を遂げています。
1-3. 社会保険労務士法人シグナルの代表、有馬美帆氏
第三部では社会保険労務士法人シグナルの代表 有馬美帆氏にご登壇いただきました。
上場に向けた労務管理について詳しく解説しました。
■起業から上場までの労務管理スケジュールの実態
創業からIPOに至るまでの事業拡大に伴い、企業体制はどのように変化するのかやその過程での労務管理の重要性と具体的なスケジュールについて詳しく解説しました。
■労務監査のポイント
労務監査(労務デューデリジェンス・労務DD)を実施する際の準備方法と、労務監査を行うべき適切な時期についての具体的なアドバイスが提供されました。
■上場における労働法の法令遵守事項
上場を目指す企業が遵守すべき労働法の具体例についても詳述されました。
法令遵守の重要性とその具体的な実践方法が示され、上場に向けた労務管理の必須事項が明確に理解できる内容でした。
登壇者情報
社会保険労務士法人シグナル
代表 有馬美帆氏
PO支援(労務監査・労務デューデリジェンス)、人的資本経営支援(ISO30414リードコンサル)、労使トラブル予防・相談、就業規則作成、セミナー講師、執筆など、多岐にわたる分野で活躍しています。企業の成長フェーズに応じて一歩先を見据えた組織力強化のコンサルティングを得意としています。
2007年に社会保険労務士試験に合格し、社会保険労務士事務所での勤務を経て独立開業しました。2017年には紛争解決手続代理業務を取得し、さらなる活躍の幅を広げています。
著作には、『M&A労務デューデリジェンス標準手順書』(共著/2019年/日本法令)、『起業の法務-新規ビジネス設計のケースメソッド』(共著/2019年/商事法務)、『IPOの労務監査 標準手順書』(共著/2022年/日本法令)などがあります。
主催者情報(株式会社Gron)
IPO支援サポートに向けた、業務オペーレーションの整備&向上、改善、業務プロセス検証&改善とDXを導入した経営コンサルティング会社です。
主にIPO支援の実績を多く保持しており、それ以外に組織体制に向けた規定作成・各種マニュアル作成・三文書を作成し業務プロセスの可視化することを得意としています。
また、経営改善、事業戦略支援や各種業務改善等を行っており、経営者に変わり現場の課題解決や生産性向上に向けた検証分析作業、ガバナンス強化に関しましても得意としています。
知識とネットワーキングが交差するリアルな様子
セミナーには、3名の専門家が登壇し、参加者に向けて貴重な知見を共有しました。
各専門家による講演は、上場準備やIPO市場に関する最新情報を提供し、参加者にとって大変有益な内容となりました。
セミナー後の懇親会では、登壇者と参加者が直接意見交換できる貴重な交流の場が設けられました。この場では、今後の共創や戦略について熱い議論が交わされ、参加者同士のネットワーキングが活発に行われました。新たなビジネスアイデアや協力関係が生まれる瞬間が多く見られ、実り多い時間となりました。
このセミナーと懇親会を通じて、参加者は専門的な知識を得るだけでなく、新たなビジネスパートナーとのつながりを深めることができ、今後の成長に向けた重要な一歩を踏み出すことができました。
専門家との対話で広がった参加者の声
セミナー開催後に実施したアンケートから、参加者のリアルな声を一部ご紹介します。
【参加目的】
・IPOに関する学習と、携わったことのある会社様との交流のため
・TPM・FPMに関する情報収集と交流
・講師、参加者の皆さまとの懇親及びセミナー内容についての理解を深めるため
・幅広い交流と弊社製品をお伝えするため
【良かった点】
・上場に向けてどのような準備が必要になってくるか、参加前よりも解像度が上がった。
・それぞれの講義の内容が学び多いもので素晴らしかった点
・様々な立場の方と交流できたこと
TOKYO PRO Market
東京証券取引所(東証)が運営する特別な株式市場で、2009年に設立されました。
この市場の大きな特徴は、「プロ向け」であることです。
一般の株式市場(プライム・スタンダード・グロースなど)では、個人投資家や法人(企業)が自由に参加し、株を購入することができます。しかし、TPMは、「株式投資の知識や経験が豊富なプロ投資家(=特定投資家)」のみが参加できるように設計されています。
このプロ専用の仕組みにより、TPMは一般市場よりも柔軟な上場基準を設定できるため、多くの企業にとって利用しやすい環境を提供しています。特に、上場を検討する幅広い企業にとって、現代のビジネス環境に適した新たなチャンスとなっています。
TPMは、現在最も注目されている株式市場の一つで、多くの企業がこの柔軟な上場基準を活用し、新たな成長を目指しています。
Fukuoka PRO Market
福岡証券取引所(福岡市)は、プロ投資家向け株式市場「FPM」を2024年に開設すると発表しました。
この市場は、昨年5月に準備を開始したもので、銀行や保険会社などのプロ投資家を対象としています。
FPMの特徴は、一般投資家向け市場と比べて上場のハードルが低い点にあり、特にスタートアップ企業(新興企業)を中心に全国からの企業誘致を目指しています。
プロ向け市場の開設は、国内では東京証券取引所に次いで2か所目となります。これにより、成長性の高い企業が早期に上場しやすくなり、資金調達の機会が拡大します。
福岡証券取引所は、FPMを通じて地域経済の活性化や企業の成長支援を図り、スタートアップの活躍の場を提供することを目指しています。
この新市場の開設により、福岡が新興企業の拠点として注目されることが期待されます。
実践的セミナーと貴重なネットワーキングの成果
今回のセミナーは、上場を目指す企業にとって極めて実践的かつ価値のある内容となりました。各専門家の講演を通じて、参加者はIPO市場の最新情報や上場準備に必要な具体的手法を学び、実務に直結する知識を得ることができました。
セミナー後の懇親会では登壇者や他の参加者と直接ネットワーキングする機会があり、新たなビジネスチャンスや協力関係が自然に生まれました。対話の中で共有された実際の経験やアイデアは、登壇者・参加者・主催者にとって非常に貴重なものとなりました。
このセミナーで得た知識と人脈は、参加者の今後の成長と成功に向けた大きな一歩となると感じています。
企業としての目標達成に向けた具体的な道筋が明確になり、さらなる発展に向けて力強いスタートを切ることができることを期待しています。