相撲の文化:歴史と日本社会との関わり

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相撲とは?

相撲(Sumo)は、日本の伝統的な格闘技であり、神道の儀式として発展してきたスポーツです。土俵(どひょう)と呼ばれる円形のリングの中で、力士(りきし)がぶつかり合い、相手を押し出すか倒すことで勝敗を決します。力士たちは厳格なルールと伝統を守りながら、日々稽古を重ねています。


相撲の歴史:神事から競技へ

相撲の起源は古く、2000年以上前にさかのぼります。

1. 神事としての相撲(古代)

相撲はもともと神道の儀式の一つで、五穀豊穣(農作物の豊作)を祈るために行われていました。奈良時代(8世紀)には宮廷で「相撲節(すもうせち)」と呼ばれる儀式が行われ、戦士たちが力比べをしました。この時代の相撲は、現在のような勝敗を競うものではなく、神々への奉納としての意味合いが強かったとされています。

また、日本最古の歴史書である『日本書紀』には、7世紀ごろに行われた相撲の記述があり、天皇の前で力士が力を競い合ったとされています。このように、相撲は神事の一環として発展し、やがて娯楽としての側面も持つようになっていきました。

2. 武士と相撲(中世)

鎌倉時代(12世紀~14世紀)には、相撲は武士の訓練の一環として取り入れられました。戦いの技術を磨くために、力や技を競う場として相撲が重視されるようになり、武士の間で広まりました。

戦国時代(16世紀)には、大名たちが「相撲大会」を開き、強い力士を家臣として雇うこともありました。この時代の相撲は、現在のような洗練された競技ではなく、より荒々しい戦闘技術としての性格が強かったと言われています。

3. 江戸時代に大衆化(17世紀~19世紀)

江戸時代になると、相撲は庶民の娯楽として発展しました。力士たちは専用の道場で訓練を受け、相撲部屋制度が誕生しました。また、現在の大相撲のように、番付(ランキング)や昇進制度が整備され、力士の地位が確立されました。

この時代には、寺社の資金集めとして「勧進相撲(かんじんずもう)」が開催され、興行としての相撲が発展しました。これが現在の大相撲へとつながる基盤となりました。

4. 近代の大相撲(19世紀~現在)

明治時代(19世紀後半)以降、相撲はスポーツとしての地位を確立し、全国的に人気を集めるようになりました。大正・昭和時代には、現在のように6場所制(年6回の本場所)が整備され、横綱制度も確立されました。

戦後にはテレビ放送の影響で相撲人気がさらに高まり、日本全国に多くのファンが誕生しました。近年では、海外からの力士の参入により、国際的な注目も集めています。


土俵の写真

相撲と国民との関係

相撲は単なるスポーツではなく、日本の文化や精神性と深く結びついています。

1. 神聖な儀式としての相撲

大相撲の試合は、神道の儀式と密接に関係しています。例えば、土俵入り(どひょういり)では、力士が土俵を清めるために塩をまきます。また、横綱(よこづな)の土俵入りは格式の高い儀式として知られています。

また、初場所(1月場所)や秋場所(9月場所)では、神社や寺院で力士が祈願を行うなど、現在も神事としての伝統が色濃く残っています。

2. 日本の国技としての誇り

相撲は「国技」として、日本の文化を象徴する存在です。相撲の精神は礼儀、努力、忍耐を重視し、日本人の価値観を反映しています。特に、相撲の世界では「礼に始まり礼に終わる」と言われるように、試合の前後には深々と礼をし、相手を敬うことが重要視されています。

また、学校教育の一環として相撲が取り入れられることもあり、日本人の精神性を育む役割も担っています。

相撲イラスト

3. 外国人力士の活躍と国際化

近年では、モンゴルやヨーロッパ、アメリカなど海外出身の力士が増え、相撲の国際化が進んでいます。ハワイ出身の横綱・曙(あけぼの)やモンゴル出身の横綱・白鵬(はくほう)など、外国人力士が相撲界を盛り上げています。

特にモンゴル出身の力士は、幼少期からモンゴル相撲(ブフ)に親しんでいるため、日本の相撲にも適応しやすいとされています。彼らの活躍により、相撲はよりグローバルなスポーツとなりつつあります。

また、日本の相撲文化は海外でも注目され、欧米を中心にアマチュア相撲の大会が開催されるなど、世界的な広がりを見せています。


相撲の決まり手一覧(82手)

以下は、日本相撲協会が定める決まり手82手の一覧になります。技ごとに説明を加えていますのでイメージがつきやすいのではないでしょうか?

基本的な決まり手

技名説明
寄り切り(よりきり)相手のまわしを掴み、密着しながら前進して土俵の外へ押し出す技。
押し出し(おしだし)まわしを掴まず、相手を両手で押し続けて土俵の外へ出す技。
押し倒し(おしたおし)相手を強く押し、そのまま倒す技。
突き出し(つきだし)手のひらで相手を突き続け、まわしを掴まずに土俵の外へ押し出す技。
突き倒し(つきたおし)相手を突いてバランスを崩し、そのまま倒す技。
引き落とし(ひきおとし)自分が後方に下がりながら相手を引き込み、バランスを崩して前方に倒させる技。
叩き込み(はたきこみ)突っ込みながら相手の動きを見て、素早く手で叩くようにしてバランスを崩し、倒す技。

投げ技(なげわざ)

技名説明
上手投げ(うわてなげ)相手のまわしの外側を掴み(上手)、体を回転させながら投げる技。
下手投げ(したてなげ)相手のまわしの内側を掴み(下手)、低い体勢から相手を投げる技。
小手投げ(こてなげ)相手の腕を掴んで強引に振り回し、投げ飛ばす技。
肩透かし(かたすかし)相手の攻めを利用して、肩を使い横方向に崩しながら倒す技。
掬い投げ(すくいなげ)相手の足元をすくうようにして倒す技。
腰投げ(こしなげ)相手を腰に乗せ、勢いよく投げる技。
ちょん掛け(ちょんがけ)相手のすねや足元を素早く引っ掛けて崩す技。
うっちゃり土俵際で相手に押されながらも、自分の体を反転させて逆転する投げ技。

足技(あしわざ)

技名説明
内掛け(うちがけ)相手の足の内側に自分の足をかけ、引っかけて倒す技。
外掛け(そとがけ)相手の足の外側に自分の足をかけ、体重を乗せて倒す技。
足取り(あしとり)相手の片足を持ち上げて崩し、バランスを失わせて倒す技。
裾取り(すそとり)相手の足元を狙い、両足や片足を取って崩して倒す技。

捻り技(ひねりわざ)

技名説明
外無双(そとむそう)相手の外側から体を回転させて倒す技。
内無双(うちむそう)相手の内側から体を回転させて倒す技。
送り出し(おくりだし)相手の後ろに回り込み、背中を押して土俵の外へ押し出す技。
送り倒し(おくりたおし)相手の背後から攻め、背中を押して前方に倒す技。
極め出し(きめだし)相手の腕を極めた状態で(固定して動けなくする)、そのまま押し出す技。

特殊な決まり手

技名説明
居反り(いぞり)相手の攻めをかわしながら、後方へ反り返って倒す技。
波離間投げ(はりまなげ)相手のまわしを取り、体を回転させながら倒す技。
渡し込み(わたしこみ)相手の足を取って、横方向に倒す技。
浴びせ倒し(あびせたおし)相手の上から体重をかけ、押しつぶすように倒す技。

これらの技は、相撲の試合で見られる代表的な決まり手ですが、他にも細かく分類された技があります。相撲は単なる力比べではなく、戦略や技術が重要な要素となっています。

まとめ:相撲は日本の文化遺産

相撲は、長い歴史を持つ日本の伝統文化であり、現代でも多くの人々に愛されています。単なる格闘技ではなく、神聖な儀式や日本の精神を体現する重要な存在です。相撲の魅力を知ることで、日本の文化をより深く理解できるでしょう。

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