10月23日「ケイサポ」異業種交流会 18時

コーポレートガバナンス・コンプライアンスについて

株式会社Gronコーポレートガバナンスサービスのイラスト

ガバナンス・コンプライアンス

ガバナンス・コーポレートガバナンス・コンプライアンス遵守、いつの間にか日本経済にも浸透しつつあるこの単語ですが、言葉の浸透と企業への浸透は少しギャップがある状況下にあります。

またニュースなどで一般の方でも耳にする機会が増え、何故それほどまでに大手企業の不祥事や、犯罪、重大なコンプライアンス違反が起きてしまうのか、少し事例も踏まえて紹介したいと思います。

昭和の時代に許されていた古いしきたりや、独自ルール、法令違反や収益認識の違い、補助金搾取など過去に発生していなかった事件も頻繁に発生しています。

コーポレートガバナンスコード

コーポレートガバナンスコードとは、上場企業に対し東京証券取引所が取りまとめたガイドラインを指します。

普段では中々耳にしない言葉かもしれませんが、上場を控えている企業(上場を目指す企業)、上場を果たした企業に対し5つの基本原則からなるガイドラインが存在します。

コーポレートガバナンスコード 5つの基本原則

  • 基本原則1 株主の権利・平等性の確保
  • 基本原則2 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
  • 基本原則3 適切な情報開示と透明性の確保
  • 基本原則4 取締役会の責務
  • 基本原則5 株主との対話

つまり、上場を目指す企業ないし上場を果たしている企業は、5つの原則に従い企業を運営・監視・管理をしなければなりません。直近では、補助金の不正受給・虚偽申告、法令違反、など、株主やステークスホルダーに対し企業価値を下げるような行為を抑止するために、透明性を持った企業運営、取締役会による経営判断、株主との対話を進めるように設けられていますが、不正を発生させてしまう企業の殆どが、取締役会の健全な運営、ステークスホルダーとの協働、適切な情報開示が実行されていません。

コーポレートガバナンス違反の事例

コーポレートガバナンス違反の事例はさまざまな形で発生しますが、以下はその中でも主要なものを抽出しています。

取締役会の無効化

  • 取締役会が存在するが、実質的には経営に影響を与えない。
  • 取締役会のメンバーが経営者や主要株主に過度に依存している。

不適切な経営報酬

  • 経営者や幹部の報酬が業績と釣り合っていない。
  • 成果を達成しないにもかかわらず高額のボーナスが支給される。

財務報告の虚偽の申告

  • 財務諸表の不正記載や不適切な会計処理。
  • 収益の誤った認識や費用の隠蔽。

主要株主の権利の無視

  • 少数株主の権利が無視され、多数株主や経営陣が独占的に意思決定を行う。

内部統制の不備

  • 内部統制が不適切で、不正行為が検出されない。
  • 組織内での情報共有と透明性が不足している。
  • 内部監査・監査役監査が機能していない

情報の非透明性

  • 株主や投資家に対して十分な情報提供がない。
  • 決定プロセスや重要な業績指標の透明性が欠けている。

反対意見の無視

  • 取締役会や経営陣が株主や利害関係者の意見を無視する。

競合利益の衝突

  • 経営陣や取締役会のメンバーが個人的な利益と企業の利益を調整しない。

環境・社会的責任

  • 持続可能性への配慮が不足し、環境や社会に対する影響を無視する。
  • 気候変動に影響する事業の報告などに欠落が存在する。

財務的な危機の隠蔽

これらのコーポレートガバナンス違反は、企業の信頼性や持続可能性に大きな影響を与える可能性があり、適切なガバナンスプラクティスの確立と遵守が重要です。

海外で発生した不正事例

  1. エンロン(Enron)事件(2001年)
    • エネルギー企業エンロンは、財務報告を不正に操作し、実際の業績を隠蔽。
    • 会計事務所アーサー・アンダーセン(Arthur Andersen)も不正行為に加担。
    • この事件は企業倒産と多額の損失をもたらし、コーポレートガバナンスの改善を促しました。
  2. ワールドコム(WorldCom)事件(2002年)
    • 通信企業ワールドコムは、収益を不正に膨らませるために費用を隠し、不正な会計処理を行う。
    • これにより、巨額の損失を企業が隠蔽していたことが明るみに出ました。
  3. タイコ・インターナショナル(Tyco International)事件(2002年)
    • 産業用製品メーカーのタイコ・インターナショナルでは、経営陣が企業資金を悪用し、不正な取引を行う。
    • これにより、企業の信頼性が大きく損なわれました。
  4. リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)倒産(2008年):
    • 金融機関リーマン・ブラザーズの倒産は、不適切なリスク管理と財務報告の不正記載に関連しています。
    • この事件は世界的な金融危機の引き金となりました。
  5. フォルクスワーゲン(Volkswagen)排ガス不正事件(2015年):
    • 自動車メーカーのフォルクスワーゲンは、ディーゼル車の排ガステスト結果を不正に操作し、規制を逃れる試みを行いました。
    • 企業の信頼性が大きく傷つき、法的な訴訟と罰金が発生しました。

日本の事例

  1. 大和銀行 巨額損失(1995年)
    • 変動金利債権の取引で5万ドルの損害を出す。
    • 行員による損失を取り戻そうとアメリカ国債の簿外取引を行い更に損失が膨れ上がる。
  2. 三菱自動車 リコール隠し(2000年)
    • 国土交通省の監査により発覚。

この他にも、日本ハム(食肉偽装)、西武鉄道(有価証券報告書虚偽記載)、明治安田生命(保険金不払い)、ヒューザー(耐震偽装)、ライブドア(証券取引法違反)、村上ファンド(インサイダー事件)、タカタ(エアバック問題)、電通(過労死問題)など、大手企業による企業不祥事が後を経ちません。

これらの事例は、企業がコーポレートガバナンスの原則を遵守せず、不正行為を行うことで、組織や投資家に多大な被害をもたらした典型的な例です。これらの事件から、監査、透明性、責任、持続可能性などのガバナンス原則の重要性が再認識され、規制や監督が強化されることとなりました。

日本の企業で不正を行った事により、廃業・経営統合に派生した企業も少なくなく、令和5年ではビックモーターによる保険金不正請求・緑化街路時に対し不正撤去や、ジャニーズ創業者による性犯罪も発生しております。

オーナーによる関与

ほとんどの企業不祥事は、オーナー・経営者による関与が大きく、従業員は不正と知りながら指示・命令を実行した事による事件が後を経ちません。

名前だけの、取締役・監査役が多い日本企業では耳の痛い話かもしれませんが、一度不正の開示や指摘がなされてしまうと事業継続の道も絶たれる傾向にあります。

同族企業による不正の頻度も高く、取締役会や社内の会議では正当な意見が言えない環境にあるのも事実です。そのような場合、企業の将来を考えるとやはり立ち止まる事も必要です。

デジタル・データフォレンジック調査(DDF)

デジタル・データフォレンジック調査、一般では中々お目にかかるキーワードではありませんが、上場会社などによる不祥事・不正が発生した際は、第三者機関からの依頼により専門チームによるデータフォレンジック作業が行われます。

デジタル化が進んだ経済活動ではなくてはならない存在です、主に犯罪捜査や法的闘争などで証拠確保のために、パソコン・スマートフォン・サーバーなどのデジタル領域の記憶部分の読み見込み並びにデータ復元作業になります。

捜査、科学捜査などとも言われております、インサイダー取引、粉飾決算、悪質な取引など発生した際に、この捜査を行いデータエビデンスを確保していきます。

資産管理ツール、例えばランスコープやSKYなどで記録を遡るのには限界があり、特殊な装置を用いて、PCやスマホ、オンプレのサーバーから、削除されたデータを復元したり抽出を行います。

個人、企業問わず、デジタル・データフォレンジックの精度が年々向上していますので、不正や悪質な取引など発生させた場合は、データを消去しても復元できてしまいますので、できる事であればそのような事実が発生しないように取り組んで頂けると幸いです。

弊社では、不正が発生した場合の調査はできないのですが、新たな業務フローの構築や不正が発生しにくいシステム設計、ダブル承認などの統制を効かした構築を設計できますので、お気軽にご相談をいただければと考えます。

弊社によるサポート

弊社としては、そのような危機に陥る前に、顧問・外部取締役として取締役会に参加する事で、企業不正やガバナンスの観点から回避する手法・アドバイスなどを適時実行させていただきます。

必要であれば、決済権限、承認ルート、LINEや各システムのIT監査も支援させていただきます。

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